M&Aの意義

M&Aの意義

事業承継においては、他社へ会社を売り渡すつまりM&Aが非常に重要になってきます。中小企業では、事業を続けたくても、後継者不足により事業承継ができず、廃業に至る場合が多いからです。

 

M&Aとは

M&Aは企業の買収・合併です。事業承継において、M&Aを活用しようとした場合、相手を探すのが困難である場合がありますが、先代経営者の懐に売却益が入ったり、株式交換により、買い手企業の株を取得することができます。

 

M&Aの市場をみると、98年以降に急激にM&Aが増加していることが分かります。上場企業は株式の流動性が高いため、TOB等を活用した買収は珍しくありませんが、最近では非上場の企業においてもM&Aが増加しています。

 

M&Aの形態

M&Aは幾つかの形態に分類されます。企業全体に及ぶ「合併」、事業の一部に留まる「事業譲渡」、借入金を対象とする「債権買取」、株式を対象とする「株式買収」等です。このような選択肢の中でM&Aのスキームを検討することになります。

 

VDDの必要性

売り手

会社を売却したいと思った場合、M&Aの仲介会社を探すことも重要ですが、自社の売値を決めなくてはなりません。売値というのは自社の企業価値を指します。上場企業は、時価総額で自社の価値を直ぐに把握できますが、非上場の企業の場合は、自社の企業価値を計算しなくてなりません。これをVDD(ベンダー・デューデリジェンス)といいます。

 

計算方法はいくつかの方式がありますが、単純に純資産から企業価値を求める方法もありますが、DCF法のように、将来得られるであろうキャッシュフローから計算することが一般的です。いずれにおいても、現預金のみならず不動産等の資産も企業価値の中に含まれますので、財務のデューデリジェンスが必要になってきます。

 

買い手

買い手は、EBITDA(営業利益+減価償却費)の10倍程度を限度として買収を行うことが多いようです。金融機関が買収資金を融資する場合、7~8年程度の回収したいと考えていることを根拠としてこのように計算されます。
お金の面ではこのように買収が行われますが、難しいのは買収された後の自社の社員の扱いです。自社に愛着が強ければ、退職することも考えられます。また、より大きな問題となるのは経営方針の違いや、買い手企業の社員との給与の格差、組織文化の違いです。これらの問題は一朝一夕に解決するものではなく、後々までついて回ります。合併後も派閥という形で社内に溝が残り続けるケースが多くあります。

 

M&Aにはこのようなデメリットもあるということは覚えておいた方がよいでしょう。

 

M&Aを進めるにあたっては

M&Aの取引を進める際は、まず上記のようなVDDを行った後、対象企業のリストアップを行い、当企業と秘密保持契約書(CA)を交わし、秘密保持契約を行います。この際、優先交渉先が決められます。そして、次は買収元企業がDD(デューデリジェンス)行い、買収条件を決め、買収先企業と条件面のすり合わせを行います。その後、「基本合意」がなされます。ただし、この基本合意については、婚約のようなもので、法的な拘束力がないことに注意が必要です。この基本合意書が従業員や金融機関の目にするところになると、反発を受ける可能性があり、M&Aが頓挫することも十分にあり得ます。

 

まとめると、事業承継においてM&Aは有効な手段と言えます。民間の仲介会社や事業引き継ぎ支援センターのような公的な機関がありますので、以前よりもハードルは低くなっています。メリットとしては、後継者がいなくても事業を続けることができることや、先代経営者が資産を手にすることができるということがあります。逆に、デメリットとしては、そもそも買い手が見つからない場合や、合併後に自社社員が仕事しにくくなる可能性があります。