事業承継を取り巻く現状

事業承継を取り巻く現状

今回は、中小企業の事業承継を取り巻く状況について考えてみたいと思います。

 

経営者の引退年齢は上昇傾向にある

規模別・事業承継時期別の経営者の平均引退年齢の推移

事業承継を取り巻く現状
出典:2013年度版中小企業白書 中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所)

 

このデータをみれば分かるように、経営者の平均引退年齢は年々上昇傾向にあります。特に小規模事業者においてそれは顕著です。
原因としては、後継者がいない等が考えられますが、特に小規模事業者の場合、法人化しておらず、個人事業主が相当数存在すると推測され、そういった場合は、厚生年金ではなく、国民年金となるため、老後の不安を感じるという理由もあるかもしれません。
いずれにせよ、中小企業の経営者は引退し辛くなっているということが言えるでしょう。

 

では、経営者は今後の展望をどのように考えているのでしょうか。

 

事業を維持・拡大をしたいと考えている経営者が殆ど

中規模企業・経営者年齢別の今後の事業運営方針

事業承継を取り巻く現状
出典:2013年度版中小企業白書 中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所)

 

このデータをみると、経営者の多くが、事業を拡大したい、現状を維持したいと答えています。70歳以上の経営者ですら、縮小・廃業したいと答えたのは9%に過ぎません。やはり、経営者としては苦労して軌道に乗せた事業を何らかの形で引き継いでいって貰いたいというのが本音ではないでしょうか。一方で、縮小・廃業したいと答えた経営者は、後継者がいない等の現実的な問題があると感じているのかもしれません。

 

それでは、高齢化が著しい小規模企業の経営者はどのように考えているのでしょうか。

 

小規模事業者・経営者年齢別の今後の事業運営方針

事業承継を取り巻く現状
出典:2013年度版中小企業白書 中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所)

 

これをみると、中規模企業と比べて、縮小・廃業したいと答える経営者の数が多いことが分かります。70歳以上の経営者では、なんと35.8%の経営者が縮小・廃業したいと答えています。やはり後継者の問題が大きいのでしょう。中規模企業では、従業員の中から後継者を選ぶという選択肢が取れますが、小規模事業者では、従業員がいない場合も多いことに加え、子をはじめとした親族も継ごうとしないというケースが多くあります。また、純粋に収益性が低く、承継するまでもないと考えている可能性があります(そもそも、収益性が低いがために、小規模企業に留まっているという可能性も否定できません)。次のグラフを見て下さい。

 

経営者が高齢になると儲からない

小規模事業者・経営者年齢別の経常利益の状況

事業承継を取り巻く現状

中規模企業・経営者年齢別の経常利益の状況

事業承継を取り巻く現状
出典:2013年度版中小企業白書 中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所)

 

このグラフをみると、規模に関わらず、70歳以上の経営者が経営する事業体の経常利益は、減少傾向にあるということが分かります。

 

経営者が高齢化すると、(小規模企業の方がより深刻ではあるのですが)小規模企業・中規模企業ともに収益性が低下するのです。

 

従って、中規模企業の経営者に比べて小規模企業の経営者の方が事業の縮小・撤退を考える比率が多いという理由は、収益性が低いということだけでなく、後継者がいないということが大きな問題となっている可能性があります。